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Q11-1

Rds形式の衆院選データ (hr-data.Rds) を読み込む。 手元にない場合はまずダウンロードする。

正しく読み込めたかどうか確認する。

## Observations: 8,803
## Variables: 22
## $ year       <int> 1996, 1996, 1996, 1996, 1996, 1996, 1996, 1996, 199...
## $ ku         <chr> "aichi", "aichi", "aichi", "aichi", "aichi", "aichi...
## $ kun        <int> 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 3, 3, ...
## $ status     <fct> 現職, 元職, 現職, 新人, 新人, 新人, 新人, 現職, 元職, 新人, 新人, 新人, 新人,...
## $ name       <chr> "KAWAMURA, TAKASHI", "IMAEDA, NORIO", "SATO, TAISUK...
## $ party      <chr> "NFP", "LDP", "DPJ", "JCP", "others", "kokuminto", ...
## $ party_code <int> 8, 1, 3, 2, 100, 22, 99, 8, 1, 3, 2, 10, 100, 99, 2...
## $ previous   <int> 2, 3, 2, 0, 0, 0, 0, 1, 1, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 1, 3, ...
## $ wl         <fct> 当選, 落選, 落選, 落選, 落選, 落選, 落選, 当選, 落選, 復活当選, 落選, 落選, 落...
## $ voteshare  <dbl> 40.0, 25.7, 20.1, 13.3, 0.4, 0.3, 0.2, 32.9, 26.4, ...
## $ age        <int> 47, 72, 53, 43, 51, 51, 45, 51, 71, 30, 31, 44, 61,...
## $ nocand     <int> 7, 7, 7, 7, 7, 7, 7, 8, 8, 8, 8, 8, 8, 8, 8, 7, 7, ...
## $ rank       <int> 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 1, 2, ...
## $ vote       <int> 66876, 42969, 33503, 22209, 616, 566, 312, 56101, 4...
## $ eligible   <int> 346774, 346774, 346774, 346774, 346774, 346774, 346...
## $ turnout    <dbl> 49.2, 49.2, 49.2, 49.2, 49.2, 49.2, 49.2, 51.8, 51....
## $ exp        <int> 9828097, 9311555, 9231284, 2177203, NA, NA, NA, 129...
## $ expm       <dbl> 9.828097, 9.311555, 9.231284, 2.177203, NA, NA, NA,...
## $ vs         <dbl> 0.400, 0.257, 0.201, 0.133, 0.004, 0.003, 0.002, 0....
## $ exppv      <dbl> 28.341505, 26.851941, 26.620462, 6.278449, NA, NA, ...
## $ smd        <fct> 当選, 落選, 落選, 落選, 落選, 落選, 落選, 当選, 落選, 落選, 落選, 落選, 落選,...
## $ party_jpn  <chr> "新進党", "自民党", "民主党", "共産党", "その他", "国民党", "無所属", "新...

2012年衆院選の民主党候補だけを抜き出してデータフレームを作る。

Q11-1-1

得票率 voteshare、当選回数 previous 、年齢 age の関係を、次の線形モデルで表す(\(\epsilon_i\)は誤差項)。 \[ 得票率_i = \beta_0 + \beta_1 当選回数_i + \beta_2 年齢_i + \epsilon_i. \]

母数について、以下の2組の仮説を立てる。

  1. 係数を包括的に検定するための仮説
  • 帰無仮説:\(\beta_1 = \beta_2 = 0\)
  • 対立仮説:\(\beta_1\)\(\beta_2\)のうち、少なくとも一つは0ではない
  1. 係数を個別に検定するための仮説(\(k \in \{1, 2\}\)
  • 帰無仮説:\(\beta_k = 0\)
  • 対立仮説:\(\beta_k \neq 0\)

回帰分析で、このモデルの母数である \(\beta_0\)\(\beta_1\)\(\beta_2\) を推定する。

## 
## Call:
## lm(formula = voteshare ~ previous + age, data = DPJ2012)
## 
## Residuals:
##      Min       1Q   Median       3Q      Max 
## -21.9214  -5.7090  -0.8234   5.5614  24.3452 
## 
## Coefficients:
##             Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
## (Intercept) 29.44365    2.52823  11.646  < 2e-16
## previous     3.29999    0.26279  12.558  < 2e-16
## age         -0.23518    0.05485  -4.287 2.55e-05
## 
## Residual standard error: 8.282 on 261 degrees of freedom
## Multiple R-squared:  0.3857, Adjusted R-squared:  0.381 
## F-statistic: 81.93 on 2 and 261 DF,  p-value: < 2.2e-16

包括的な仮説から検定しよう。上で示された結果のうち、最後の行にある\(F\)統計量の\(p値\) を見ると、2.2e-16$ = 2.2 10^{-16} 0\(未満であり、\)p$値が\(0.05\)より小さいので、有意水準5%で帰無仮説を棄却する。すなわち、\(\beta_1\)\(\beta_2\)のうち、少なくとも一方は0ではない。言い換えると、(上で想定したモデルが正しいなら)当選回数と年齢のうち少なくとも一方は得票率に影響を与える。

次に、係数を個別に検定しよう。まず、過去の当選回数 (previous) の係数の\(p\)値は、2e-16 \(= 2\cdot10^{-16} \approx 0\)未満であり、\(p\)値が\(0.05\)より小さいので、有意水準5%で帰無仮説を棄却する。すなわち、過去の当選回数は、得票率に影響を与える。\(\beta_1\)の推定値は約\(3.3\)だから、年齢を一定に保つと、過去の当選回数が1回増えるごとに、得票率は平均すると\(3.3\)パーセントポイントずつ上昇すると考えられる。過去の当選回数が3回異なると、\(9.9\)パーセントポイント得票率に差が出るということなので、この効果は実質的にも意味がある(つまり、選挙結果を左右し得る)効果であると考えられる。

同様に、年齢 (age) の係数の\(p\)値は、2.55e-05 \(= 2.55 \cdot 10^{-5} \approx 0 < 0.05\)だから、有意水準5%で帰無仮説を棄却する。すなわち、年齢は得票率に影響を与える。\(\beta_2\)の推定値は約\(-0.24\)だから、過去の当選回数を一定に保つと、年齢が1歳上がるごとに得票率が\(-0.24\)パーセントポイントずつ上がる、つまり、\(0.24\)パーセントポイントずつ下がることが予測される。 一回り年齢が違うと、\(2.82\)パーセントポイントだけ得票率に差が出るということなので、無視できるほど小さい差ではないが、実質的に大きな効果があると言い切ることは難しい。30歳の候補と60歳の候補を比べると、\(7.06\)パーセントポイントの差になるので、年齢差が大きければ実質的に意味がある違いが出ることがわかる(2012年の民主党候補のうち、最年少候補は25歳、最年長候補は74歳である)。

最後に、分析結果を図にまとめる。

この図が推定結果をまとめている。縦軸にはモデルに含まれる説明変数が並んでいる。横軸は、係数の推定値の大きさを表している。図中の点は、各説明変数の係数の点推定値である。また、水平に引かれた線は、内側の太い線が50パーセント信頼区間、外側の細い線が95パーセント信頼区間である。いずれの変数についても、95パーセント信頼区間がゼロを跨いでいないので、5%の有意水準で、推定された効果は統計的に有意であることがわかる。この分析の標本サイズは264、自由度調整済み決定係数は0.38である。

Q11-1-2

得票率 voteshare を応答変数、選挙費用 expm(100万円)を説明変数と想定して散布図を描き、回帰直線とその95%信頼区間を示す。